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「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」及び省令で許可基準が定められています。省令第10条では申請者の能力基準として「産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識と技能を有すること」と定められています。公益社団法人日本産業廃棄物振興センターの講習会の修了者が基準を満たすと認められます。当事務所では、講習会のWeb申し込み手続きからサポートを開始しています。
産業廃棄物収集運搬業は、都道府県許可が必要です。
具体的には、
☆廃棄物を積み込む場所 ☆廃棄物を降ろす場所の都道府県知事の許可を得ることが必要です。運搬の途中で、通過するだけの場所の都道府県知事の許可は不要です。
例えば、東京都内の排出事業者から受取って積み込み、埼玉県を通って千葉県の処分場で降ろすような場合は、東京都(廃棄物を積み込む場所)と千葉県(廃棄物を降ろす場所)の許可が必要となります。通過した埼玉県の許可は取らなくてもいいです。
新規許可申請の場合は、①どのような種類の産業廃棄物を②どこの排出事業者から積み込み③どこの処分場に降ろすのかという事業計画を定めます。(取り扱い品目の確定、申請する都道府県の決定)
産業廃棄物収集運搬業許可には、大きく能力基準・欠格要件に該当しないこと・施設の3つの要件があります。
(1) 能力に係る基準について
技術的能力
産業廃棄物収集運搬業を行う技術的な能力があることです。個人の場合は申請者本人、法人の場合は代表者、役員(監査役を除く。)または政令第6条の10に規定する使用人のうち常勤者が、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの講習会を受講し、その修了証の写しを提出します。
経理的能力
産業廃棄物処理を的確に継続的に行う経理的基礎があることです。資金調達方法・資産調書で判断します。また、以下の書類も提出します。
① 損益計算書(直近3年分)
② 株主資本等変動計算書(直近3年分)
③ 個別注記表(直近3年分)
④法人税の納税証明書(直近3年分)個人の場合は所得税の納税証明書(直近3年分)(決算を3期迎えていない場合、収支計画書などでも可)
(2)欠格要件に該当しないこと
申請者の役員、政令第6条の10に定める使用人・法定代理人・相談役・顧問・株主(5%以上の出資者)が対象です。
(3)施設について
施設とは、車両・容器等のことを言います。
車両については、車検証の写しと車両の写真(車両全体・ナンバープレートが写った写真)を貼付します。車検証は、所有者もしくは使用者が申請者であることが原則となっています。
産業廃棄物処理業の許可要件の一つに、法人の場合は取締役、個人の場合は申請者本人(政令で定める使用人を講習会修了者とすることもできます)が講習を受講し(新規の場合2日間)修了証を取得することが必要とされています。。
講習会は、廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物または特別管理産業廃棄物処理業の許可を新たに受けようとする方、更新許可を受けようとする方などが、産業廃棄物の適正な処理を行うために必要な専門的知識と技能を習得することを目的としています。
講習会は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施します。
講習会の申し込みは、書面による申し込みとWeb申し込みがあります。書面による申し込みは、最寄りの都道府県産業廃棄物協会から受講の手引きを取り寄せて行います。
Webから申し込む場合は、
1.受講申込書の取り付けが不要です。
2.新規・更新ともに割引料金(500円引き)が適用されます。
3.コンビニ・クレジットカードでのお支払の場合、支払手数料は無料です。
4.マイページから試験結果を確認することができます。
などのメリットがあります。
なお、Web申込みに当たっては、写真画像データが必要となります。
講習会のスケジュール、Web申し込みについては、
日本産業廃棄物処理振興センターHPをご確認ください。
収集運搬業以外にも、中間処理業、最終処分業の区分があります。
●収集運搬業
廃棄物の積み込みから中間処理施設や最終処分場までの運搬業(積替え保管も含む)
積替え保管を含むとは、収集した廃棄物を一時的に積替えや保管をした後、中間処理施設や最終処分場に運ぶことです。積替保管は、中間処理業に準じた申請手続きが必要です。
・中間処理業
最終処分の前段階で廃棄物を焼却・破砕・切断・脱水・乾燥等により減量化・安定化・無害化する業務
・最終処分業
埋め立て・海洋投棄などにより廃棄物を自然に戻す最終的な処理を行う業務
廃棄物は、単なるゴミではなく自分で利用しなくなったり有償で売却できずに不要となった固形・液状のもののことを言います。更に、産業廃棄物と一般廃棄物に分けられます。家庭から出たものは一般廃棄物に入ります。一方、事業活動から生じたもの内、20種類に該当するものが産業廃棄物の対象となります。また、20種類の内には、一定の業種から発生したもののみを産業廃棄物とするものもあります。
更に、産業廃棄物の中で爆発性・毒性・感染性等のあるものを特別管理産業廃棄物としています。それ以外は、普通の産業廃棄物です。
1.燃え殻2.汚泥3.廃油4.廃酸5.廃アルカリ6.廃プラスチック7.紙くず8.木くず9.動物系固形不要物10.繊維くず11.動植物性残さ12.ゴムくず13.金属くず14.ガラスくず、コンクリート製品くず、陶磁器くず15.鉱さい16.がれき類17.動物ふん尿18.動物の死体19.ばいじん20.法施行令第2条13号に規定する産業廃棄物 の20種類です。
7.8.9.10.11.17.18.19は排出した業種の指定があります。8については、貨物流通に使用した木製パレットについては業種指定がありません。
特定管理産業廃棄物は、廃油・廃酸・廃アルカリ・感染性産業廃棄物・PCB汚染物・有害の汚泥等です。
許可要件の一つである施設とは、車両・容器等のことです。収集運搬は、産業廃棄物の飛散・流出・悪臭のおそれがあります。それを防ぐため適当な容器・車両を使用することが必要となります。東京都では、許可申請の時に許可対象の産業廃棄物の種類に適した容器・車両かどうか判断するため、車両・容器の写真、車検証の提出が求められています。
例えば、
汚泥・動植物性残さ・動物の死体・・・容器:ドラム缶(オープンドラム)
車両:水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車
ふん尿・・・容器:ドラム缶(オープンドラム)
車両:タンク車
廃油・・・容器:ドラム缶(クローズドドラム)
車両:タンク車
などです。
写真の撮影方法についても定められています。
産業廃棄物収集運搬業許可には、「事業を的確かつ継続的して行うことができる経済的基礎を有する」ことが必要とされています。
直近の納税額が1円以上で直近3年間未納税金がなければ大丈夫です。また、債務超過の場合であっても税理士等の資格者の説明書を追加資料として申請することができます。