池井戸潤作「かばん屋の相続」を読みました。池井戸さんは「半沢直樹」シリーズで有名ですね。
かばん屋の社長が亡くなり、その後に出てきた遺言書をめぐるお家騒動の物語です。
この話は実在する人気かばん店がモデルとなってます。2000年代の話なので、新聞などでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
実際の事件では、2通の自筆証書遺言が出てきたことから、第二の遺言書の真贋が争われました。遺言の内容に食い違いがある場合、その部分について前の遺言はより新しい後の遺言により撤回したものとみなされます(民法1023条)。この事件では、2通の遺言の内容が全く異なることから問題となったのです。
裁判に発展し原告・被告側双方でそれぞれ筆跡鑑定をしていますが、鑑定結果が異なり判決も二転三転してます。
このように自筆で遺言を残す際は、筆跡鑑定も完璧ではなく異なる判断がでること、つまり本人の思いが実現できない可能性があることは覚えておくべきでしょう。
行政書士は法的紛争段階にある事件に介入できません。そのため、紛争の予防(予防法務)を重要視します。
弊所では公正証書による遺言をお勧めしておりますが、自筆証書遺言のサポートも行ってます。もちろんその際は紛争に発展しないよう努めるべく遺言の信憑性を高める工夫をしております。
(博)